狂言「墨塗(すみぬり)」について

あらすじ

訴訟事で長期在京中の田舎大名、訴訟に勝って晴れて故郷へ下ることとなりました。在京中馴染みとなった女のもとを訪れ、おそるおそる別れ話をもちかけますが、案の定、女は泣き出してしまいます。女の気持ちにほだされた大名までももらい泣き、必ず迎えに来ると約束します。二人の愁嘆場を苦々しく見ていた太郎冠者が、ふと気が付くと、女は手元に隠した瓶水入れの水を目に付けての泣き真似です……。

古くは「平中物語」や「堤中納言物語」などに、平中とあだ名された好色漢・平貞文が女性を口説こうとして硯の水を目に塗って空泣きするのを見破られ、硯に墨を入れて顔を真っ黒にしたと言う笑話が伝えられています。

登場人物

  • 大名:佐藤友彦
  • 太郎冠者:今枝郁雄
  • 女:佐藤融

出演

佐藤友彦

和泉流狂言師

佐藤 融

和泉流狂言師

今枝郁雄

和泉流狂言師

ご挨拶(佐藤友彦)

能と狂言とは、本来「能楽」として一体のものと捉えられています。同じ母体から生まれた性格の異なる兄弟であり、役割の上では夫婦のような存在です。狂言はしたたかに生きる庶民の日常生活を笑いで描き出し、能は人間の数奇な運命、歴史上の大事件などを叙情豊かに歌いあげます。狂言はリアルな動きを話し言葉による科白劇、能は象徴的な演技と、謡いと囃子による音楽劇、それぞれの役割を分担することで、究極の劇的進化を遂げてきたとも言えるでしょう。この二つの演劇をセットとして交互に上演、それを一体と捉える形が日本の演劇の原点だったのです。

狂言のパートナーである能は、日本版のオペラ、ミュージカルに例えられるものですが、NAgoya Siの企画は、これを本来のオペラとの競演で楽しんでいただこうと言うもので、昨年10月に上演した「怪しい薬」についで2回目の公園となります。この活動を積み重ねながら、本格的なオペラとの融合、共演による新たな舞台そうぞを目指したいと考えています。

狂言「墨塗」Nagoya Si的楽しみ方ポイント

装束とキャラクター

今回の「墨塗」では、大名・太郎冠者(たろうかじゃ)・女の3つの違うキャラクターが登場しますが、それぞれ狂言における「お約束」ともいえる装束の特徴があります。

大名と太郎冠者は袴をはいていますが、長さが違います。大名の袴はひきずるほど長く、太郎冠者の袴は短くなっています。長い袴は動作がゆっくり大きくなりますが、それが威厳や風格を表すことに繋がります。一方、短い袴は動きやすいので、素早く活動的な感じを表すことができます。このように袴の長さひとつでキャラクターの特徴を演出することができます。

また、今回、登場人物に女性がいますが、狂言に登場する女性は、5メートルほどある白い布を頭に巻きつけ、顔の左右に布を長く垂らして帯に挟むのがお約束となっています。一般的に男性の顔は女性に比べて角ばって大きいのですが、白い布で顔の両脇を隠すことで、角ばった輪郭が見えなくなると同時にほっそりと小さくなり、女性らしく見えるようになるというわけです。

こうした装束とキャラクターの関係をチェックしてみるのも、面白いのではないでしょうか。

チケット販売の詳細はNagoya Si 事務局(大橋)まで070-4399-2692電話が通じない場合はTheatre Project Si 事務局090-2254-5712(川橋)まで

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